全柔連が小学生の全国大会を廃止するという決定をしました。私は素晴らしい決断だと思います。なぜ若年層での全国大会を行わない方がいいのか三つの理由で説明します。
①そのスポーツが弱くなるから
②全ての子供がスポーツを楽しめないから
③競技を超えた学びが得られないから— Dai Tamesue 爲末大 (@daijapan) March 18, 2022
以下、引用させていただきます。
例えば体が小さいのになぜか子供は字を大きく書きます。それは筋の調整と連動がうまくいかないから細かい作業がまだうまくできないからです。その一方でリツイ体制のバランス自体は大人とそれほど変わらないぐらいうまくできます。このように子供は大人のミニサイズではありません。
ということは子供の世代の柔道は大人の柔道のミニサイズではなく勝利のためには違う戦略が求められるということです。早すぎる最適化とはこの子供時代の勝ち方に最適化してしまったが故に、大人になって本来行き着くレベルまでいけなくなってしまうことを指します。つまり器が小さくなるということです。
柔道はそれほどではないかもしれませんが、日本人が海外の試合に出てよく聞かれる質問は「日本人は10代ではあんなに強いのに、20代になってからなぜ弱くなるのか」です。要するに若年層の時代にトレーニングをしすぎて、大人になった時に世界とは戦えなくなっているというのが現状だと考えています。
欧州で中高の全国大会が禁じられた時のロジックは「子供たちはスポーツを楽しむべきであり、それは試合に出ることで補欠で試合に出られないことや過剰に勝利至上主義に走ることは避けなければならない」というものだったそうです。全国大会は勝ち抜き戦の構造を作り、敗退と補欠を生みます。
日本のスポーツは全てが「選抜システム」であると言われます。それは全てが才能を発掘する目的に向かっていて、全ての子供がスポーツを楽しむという視点の欠如に向けられた批判です。一方で勝ちたい子供を制限するのかという反対の声もあります。しかし現場に行けばわかるのは最も勝ちたいのは大人です。
早い段階で日本一になりましたので、離脱していく選手をたくさんみてきました。そのような選手にある特徴は本人より周りが興奮していることです。親と指導者が選手の才能に興奮して舞い上がっている場合、その選手の才能が潰れる可能性が高くなります。なぜなら最も重要な主体性が損なわれるからです
99.9%以上の選手はオリンピックに行けません。アスリートで食っていけるのもそのぐらいの確率です。ほとんどの選手はアスリートという職業にはつけません。だからこそ競技から学んだことにどの程度の普遍性があるかが重要になります。では普遍的な学びとはなんでしょうか。
それは少なくとも自分が何をしようとしているかを知り、何が起きたかを理解し、どうすればいいかを考えることができることで成立します。リフレクションです。ただこの能力は育つのに時間がかかります。若年層だけで活躍させようとするならば、この手順を省く方がうまくいきます。
つまり言われた通りやる人間を作ることです。しかし、このような選手は引退した後、苦労します。自分の体ではある程度のことはしてきたわけですが、一体それがなんだったのか本人がわかっていないからです。考える力が育っていません。
以上の理由から、全国大会の廃止は素晴らしいことだと私は考えます。ぜひ他競技でも追随してほしいです。
寄せられていたコメント
例えばクラシックバレエ等では熊川哲也さんのように14歳から始めてもプロになる人はなるし、才能が大部分を占めます。
かつ、1つのスポーツ等に特化すると身体を痛めやすいので、選手としての寿命が短くなります。
また幅広い分野に触れることで、対応力が増すという統計はあります。— ふてね (@Hokkahoka1113) March 19, 2022
中学校の強豪の野球チームとかだと、補欠は試合で打席に立った経験もほとんどないですよね。
ランニングと球拾いが思い出とか。
それなら、3年間部活しないでほかのことした方が有意義な時間を過ごせそう。— craft (@rfallax) March 18, 2022
今後日本では学校の部活動でスポーツをするのではなく地域のスポーツクラブが中心になるという大きな流れがあると思います。
— Kijiya Satoshi (@kijisato) March 18, 2022
スポーツクラブでスポーツをやっていくという流れを正常化していくためにも、小学生や中学生年代の全国大会を廃止するということは、他の競技でも拡げるべきだと思います。
— Kijiya Satoshi (@kijisato) March 18, 2022
その通りだと思います。昨今の吹奏楽部のコンクール至上主義はちょっと…。
ウチの息子も音楽大好きですが、吹部には入りませんでした。— 弘明寺太郎 (YAMADA K.) (@gumyojitaro) March 18, 2022
私も長い間競技スポーツとしての柔道をしてきましたが、確かに子供たちは大人に作られた目標を生きている。これでは本人も違和感を感じてしまうときが来てしまいます。特に柔道は子供に道を教えてあげるのが大人の役目だと考えます。為末さんのツイートには目を覚めさせて頂きました。
— KUNI(スイスポ納車待ち (@KUNI92331235) March 18, 2022